ドコモ・au・ソフトバンクといった大手キャリアより購入したスマホを使用している場合、スマホ端末本体には「SIMロック」と呼ばれるキャリア別の通信制限がかけられています。
SIMロックがかかっている端末は、購入したキャリアの通信回線でしか通信を利用できません。
2015年5月に初めてSIMロック解除が義務化されたものの、条件面で制約が多いものでした。
そして、1月10日に総務省が策定した新たなガイドラインでは、SIMロック解除の制約が大きく緩和され、最短で即日でSIMロック解除できるなど、ユーザーにとってメリットの多い内容となっています。
そもそも「SIMロック」とは?
スマホ端末で通信利用する際には、必ず端末にSIMカード(Subscriber Identity Module card)と呼ばれる、電話番号情報や通信キャリアの識別情報が記憶されたチップ型のカードを端末に挿入しなければなりません。
通信キャリア側は、このSIMカードの識別情報を元に契約者情報と照合を行い通信サービスを提供しています。
このSIMの機能を利用して端末側に鍵をかけてしまうのが「SIMロック」です。
ドコモ・au・ソフトバンクから発売されている端末には、SIMロックがかけられています。
SIMロックがかかっている端末は他のキャリアでは使えません。
例えば、ドコモで購入した端末にauやソフトバンクのSIMを挿入しても通信することできません。ドコモの端末はドコモのSIMしか受け付けてくれないんです。
通信キャリアが制限される変わりといっては何ですが、端末を安く購入できたり毎月の割引きを受けられるなど優遇サービスを受けることができます。
このSIMロックに対する割引きサービスがあるので、最新端末でも「実質0円」販売が可能なんです。
[voice icon=”https://monotive.jp/wp-content/uploads/2017/01/NINO-Trouble.jpg” name=”NINO” type=”l icon_black”]ユーザーとしては、実質0円にするための複雑な料金体系はややこしくて嫌ですよね・・・[/voice]
反対に、SIMロックがかかっていない端末を「SIMフリー」端末とよびます。
SIMフリー端末であれば、どのキャリアでも使用可能。ドコモ・au・ソフトバンクや、格安SIMでの運用も可能です。
[voice icon=”https://monotive.jp/wp-content/uploads/2017/01/NINO-Standard.jpg” name=”NINO” type=”l icon_black”]日本では大人気の「iPhone」を例にすると、ドコモやau・ソフトバンクで買ったiPhoneはSIMロック端末、Apple直営のApple Storeで購入したiPhoneはSIMフリー端末です。[/voice]
キャリア間競争や格安SIM普及のため「SIMロック解除」が義務化
SIMロックをかける日本独特の複雑な仕組みに、総務省のメスが入りました。
2015年5月に開始された「SIMロック解除の義務化」です。
豊富な資本力がある大手キャリアは、SIMロックをかけ、実質0円で端末を販売し、ドコモ・au・ソフトバンクとも3社並びの価格を展開し、通信業界を支配しています。
これでは、格安SIMを運営するMVNOは入る隙がありません。
他社が通信業界に参入しようとしても、実質的に支配下に置かれてしまっている業界に為す術はないのです。
これに総務省が待ったをかけたのです。
SIMロック解除を義務化することより、利用者の利便性の拡大を図り事業者間の公正な競争環境を整えようとしています。
しかし、2010年ごろよりSIMロック解除のガイドラインは定められていましたが、義務化というスタンスではなく大手キャリアは特に従いませんでした。
通信料金の利用者負担を下げることや格安SIMを参入させ通信市場に公正競争を促したい総務省は、2015年遂にSIMロック解除を義務化するガイドラインを定め、各キャリアでのSIMロック解除対応が始まりました。
[voice icon=”https://monotive.jp/wp-content/uploads/2017/01/NINO-Standard.jpg” name=”NINO” type=”l icon_black”]ぼくもauで購入したiPhoneをSIMロック解除して、現在は格安SIMを利用しています![/voice]
2015年に定められ義務化されたSIMロック解除は、端末を割り引いて販売しているキャリア側に多少譲歩するために180日という一定期間の利用後にSIMロック解除できるというものでした。
緩和された新ガイドラインではSIMロック解除をより早くできるように!
ここまでが現在までのSIMロック解除への流れ。
そして、更なる公平競争と格安SIMの発展をする環境を整えるべく、総務省は1月10日にSIMロック解除に関する新たなガイドラインを策定しました。
購入後180日とされていた期間は分割購入の場合100日へ短縮され、一括購入の場合は即日でSIMロック解除できるなど大幅な緩和がされています。
以下にガイドラインの新旧結果をまとめました。
購入方法 | SIMロック解除可能日数 | 開始時期 | |
現状 | 新ガイドライン | ||
分割購入 | 180日経過後 | 100日経過後 | 平成29年 8月1日〜 |
一括購入 | 180日経過後 | 支払い確認後 (最短即日) |
平成29年 12月1日〜 |
分割購入では、これまで端末を購入しても180日(約6ヶ月)はキャリアに縛られてしまうものでしたが、100日(約3ヶ月強)へと変わり、およそ半分の期間に短縮されています。適用開始時期は平成29年8月1日からとなっています。
[voice icon=”https://monotive.jp/wp-content/uploads/2017/01/NINO-Standard.jpg” name=”NINO” type=”l icon_black”]ここ数年、毎年9月に発売されている次期iPhoneも対象になるかも![/voice]
さらに一括購入では支払い確認後に解除可能とされています。言い換えれば、最短で当日に解除することも可能と解釈できますね。一括購入のSIMロック解除開始時期は平成29年12月1日からとされています。
ただし、新ガイドラインへの意見の中で、一括購入確認を行うシステム開発に期間を要するため、auのみ平成30年2月頃よりの運用となる見込み としています。約3ヶ月遅れで開始見込みということになりますね。
まとめ
SIMロック解除が短縮され、一括購入では確認後に即解除することができるようになるため、キャリア側としては、実質0円端末のような高額な端末補助ができなくなりそうです。
その結果、これまで端末を割り引きしていた費用分を、通信料金引き下げへ回すという流れが加速すると思います。
大手キャリア同士の横並び料金プランではなく、それぞれに差が生まれ多様なプランが今後展開されていく可能性があります。
[voice icon=”https://monotive.jp/wp-content/uploads/2017/01/NINO-Standard.jpg” name=”NINO” type=”l icon_black”]iPhone発売後の3社同じような金額プランはこれからは存在しなくなるかも!?[/voice]
そして、格安SIMとの競争が生まれ、ユーザーとしても選択肢が豊富になると思います。
今年の秋以降の新端末や新料金プランにはぜひとも注目です!
[voice icon=”https://monotive.jp/wp-content/uploads/2017/01/NINO-Standard.jpg” name=”NINO” type=”l icon_black”]ぼくは現在、格安SIM「FREETEL」で、大手キャリアの通信料より大幅に安くなり快適に通信できるサービスを利用しています。
「【比較】格安SIM「FREETEL」にMNP移行して半年間経過。通信料金はいくらお得になったのか計算してみた!」という記事で紹介しているので、ぜひどうぞ![/voice]
[Source:総務省]