本記事では、最新のWi-Fi規格であるWi-Fi 7に対応したメッシュWi-Fiルーター、TP-Link「Deco BE75(2パック)」をレビューします。
Wi-Fi 7は、現在一般的に広く普及しているWi-Fi 6規格対応のルーターと比べて、4.8倍の最大通信速度、4倍の低遅延化を実現し、快適な通信環境を実現できる最新のWi-Fi規格です。
この最新規格のWi-Fi 7に対応している「Deco BE75(2パック)」の特徴やスペック、通信速度検証、実際に使ってみて感じたこと(メリット・デメリット)をレビューとしてまとめています。
- Deco BE75の主な特徴・スペック
- Deco BE75の通信速度検証結果
- Deco BE75を実際に使ってみて分かったこと(メリット・デメリット)
- Deco BE75がおすすめな人
DECO BE75の主な特徴・スペック・外観
TP-LinkのDeco BE75(2パック)は、Wi-Fiの最新規格となる「Wi-Fi 7」に対応したトライバンドメッシュWi-Fiルーターです。
Deco BE75の主な特徴と仕様
Deco BE75(2パック)の主な特徴は以下のとおりです。
- 最新「Wi-Fi 7」に対応したトライバンドWi-Fiルーター
- 8ストリーム対応トライバンドWi-Fi 合計最大17Gbpsの超高速通信
- 最大10Gbpsの有線接続対応
- 家中どこでもつながるメッシュWi-Fi対応(シームレスAIメッシュ)
- 6GHz対応、320MHzチャンネル対応による高速通信
- IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)対応
- VPNソフトウェアなしにルーター設置だけでVPN接続可能
旧規格(Wi-Fi 6)の2倍となる帯域幅320MHz通信が可能で、すでにWi-Fi 6E規格でもかなり高速な通信ができると定評のあった6GHz帯域のWi-Fi通信をさらに快適な環境へ引き上げてくれる点が最大の特徴です。
また、2パックある各Decoユニット間は、有線接続だけでなく、Wi-Fiを使った無線接続にも対応。強力なバックホール接続で、設置している空間全体でどこでもつながりやすい超高速なメッシュWi-Fi環境を構築できます。
Deco BE75(2パック)の主なスペックは以下のとおり。
製品名 | Deco BE75(パック) |
Wi-Fi規格 | Wi-Fi 7 6GHz:IEEE 802.11be/ax 5GHz:IEEE 802.1111be/ax/ac/n/a 2.4GHz:IEEE 802.11be/ax/n/b/g |
Wi-Fi速度 | 6GHz:11520Mbps(802.11ax) 5GHz:4320Mbps(802.11ax) 2.4GHz:688Mbps(802.11ax) |
Wi-Fi性能 | トライバンド メッシュWi-Fi対応 (TP-Linkメッシュテクノロジー) ハイゲインアンテナ×6(内蔵) 4×4 MU-MIMO OFDMA 高性能FEM 8ストリーム |
搭載ポート | • 10Gbps RJ45/SFP+ WAN/LANコンボポート×1 • 2.5Gbps WAN/LANポート×3 ・USBポート×1 |
IPv6 IPoE対応 | ○ |
VPN機能 | ○ |
IoT用ネットワーク機能 | ○ |
HomeShield対応 | ○ |
サイズ | 128 × 128 × 236 mm |
Deco BE75(2パック)の外観
Deco BE75(2パック)のパッケージを開封すると、中身はこんな感じ。
- Deco BE75 本体×2
- Deco BE75ユニット×2
- RJ45 LANケーブル×1
- 電源アダプター×2
- SFP+ポート用ダストプラグ×2
- かんたん設定ガイド
本体ユニットは2台とも共通サイズで、128 × 128 × 236 mmという寸法。
例えるなら、1Lの紙パック飲料を一回りちょっとくらい大きくしたようなサイズ感です。
白を基調とした丸みを帯びた筐体で、スッキリかつスタイリッシュ感のあるデザイン。Wi-Fiルーターとは思えないようなシンプルでオシャレな外観がとても印象的です。
ルーター筐体をよく見ると、こんな感じで「7」をイメージしたようなデザインに。
おそらく「Wi-Fi 7」への対応を意図しているような感じなんですかね。見た目的には結構イイ感じです。
本体内部の排熱スリットは、ルーター上部に設けられています。
少し前のMac Proを思わせるような…オシャレな筐体デザインという感じです!
WANポートは10Gbpsに対応していて、最近拡大しつつある10ギガの光回線にもフルで対応。
また、他LANケーブル端子も全て2.5Gbps対応とかなりスペック高めです。
- 10Gbps RJ45/SFP+ WAN/LANコンボポート×1
- 2.5Gbps WAN/LANポート×3
- USBポート×1
- 電源端子×1
また、USBのTypeA端子ポートも1つ搭載。
ここに外付けのハードディスク等を差すことで、ネットワーク経由でストレージにアクセスできる簡易的なNAS化も可能となります。
Deco BE75(2パック)の通信速度を検証
では、実際にDeco BE75(2パック)を設置して、気になるWi-Fi通信速度を検証してみます。
今回、Deco BE75のWi-Fiルーター側は前述のようにWi-Fi 7対応、通信利用する端末側もiPhone 16 Pro Maxで同じくWi-Fi 7対応。
双方でWi-Fi 7規格対応している環境での測定です。
- Deco BE75(2パック)を2階建て戸建て住宅に設置
- 自宅内の6箇所で下り・上り通信速度をそれぞれ測定
- 2階リビングにメイン機の1台を設置
- サブ機のもう1台は、Wi-Fiによる無線バックホール接続で同じ空間の離れた場所へ設置
(メッシュWi-Fi範囲を考慮して、空間的に均等配置) - 通信速度は、6GHz帯でWi-Fi 接続したiPhone 16 Pro Maxを使い、Fast.comにて瞬間値を測定
- 自宅ネット回線は、地元系ケーブルテレビの光回線10ギガプラン
- 家庭内及び周辺住宅の混雑影響を受けにくいよう、早朝時間帯にて通信速度測定を実施
通信速度の測定結果(図・表)
Wi-Fi通信速度を測定した際の、自宅の間取り、そして、各測定ポイントの通信速度結果はこんな感じです。
場所 | Deco BE75との 位置関係 | ダウンロード | アップロード |
① | 近い | 2.2Gbps (2200Mbps) | 1.6Gbps (1600Mbps) |
② | 非常に近い | 1.6Gbps (1600Mbps) | 980Mbps |
③ | 少し遠い | 1.1Gbps (1100Mbps) | 770Mbps |
④ | 遠い | 1.2Gbps (1200Mbps) | 500Mbps |
⑤ | 少し遠い | 1.1Gbps (1100Mbps) | 610Mbps |
⑥ | 遠い | 510Mbps | 220Mbps |
実際に通信速度測定している時の様子を、X(旧Twitter)にも掲載しました。
本当に速すぎます…!!!
ほぼ全測定場所で下り1Gbps(1000Mbps)超えの超高速Wi-Fi
上記結果を見ると、これまでWi-Fi 6環境で通信しているユーザーからすれば、圧倒的な結果の違いを数値的にも感じてもらえるかと思います。お世辞抜きで超爆速です。
ルーターを設置した階と同じ階の測定場所では、全ての測定で下り回線1Gbps(1000Mbps)超えです。
1Gbpsで1秒間にできるデータ転送は125MBです。
(8bitビット=1byteバイト換算)
1Gbpsの速度があれば、1秒間で125MBという驚異的な速度。
これはたったの8秒間で1GBのデータファイルをダウンロードできる速度です。本当に爆速すぎます。
また、ほぼ全箇所で均一した超高速通信ができてることから、Deco BE75(2パック)によるメッシュWi-Fiの性能や、2パック同士の超高速なバックホール接続がしっかり効果を発揮しているものと考えます。
例えば、測定④の部屋は、メインルーターから距離が遠く、Wi-Fiによる無線接続したサブルーター側にありますが、扉2枚を隔てるような構造物的な障害物があっても、実際の測定では下り回線1.2Gbps出ています。
リビング空間の結果を見てみると、下りダウンロードで2Gbps超えという結果。
これは、1GBのデータをわずか4秒でダウンロードできる結果です。卓越レベルに異次元の速さ…!!
唯一、設置階と異なる場所でも510Mbps出ているので、従来のWi-Fi 6のような環境と比べても、十分な速度が出ていることが分かります。
ちなみに、Deco BE75にブリッジモード接続でつないだNEC製のWi-Fi 6対応ルーターで計測したところ、ルーターに一番近い場所での測定でしたが、下り370Mbpsにとどまっています。
同じ場所でDeco BE75なら2.2Gbps(2200Mbps)なので、同じ契約のネット回線(10ギガ光回線)でもWi-Fiルーターが変わるだけで約6倍の速度差が出ていることになります。
上りアップロード回線では、その性質上、全体的に下りダウンロード回線と比べて通信速度は多少落ちますが、それでも最大で1.6Gbps出ているので、文句なしの速さです!
僕のYouTubeチャンネルに動画をアップロードするとき、大体8GBくらいある大容量動画データをアップロードしていますが、かかる時間は2分もかからないくらいです…!!
(Wi-Fi 6回線の時は、10分〜20分くらいかかってました)
このように、通信速度測定結果による数字的なことはもちろん、実際にWi-Fi環境利用を通した使用感でも、Deco BE75(2パック)の通信速度は、驚異的な超高速通信を実現してくれています。
10ギガのネット光回線契約など、一定の条件が整うことで、Deco BE75(2パック)の導入により、異次元に超高速なWi-Fi環境へアップデートできます!
Deco BE75(2パック)を実際に使ってみて分かったこと
通信速度で相当な性能を発揮してくれることが分かっていただけたと思いますが、実際にDeco BE75(2パック)を使っているとそれ以外にも優れている点がありますので、いくつか紹介しておきます。
視覚化しにくいWi-Fi環境を正確にステータス確認できる専用アプリ
Deco BE75(2パック)では、専用のDecoアプリと連携することで、ルーター自体の細かなステータス状況を可視化してくれます。
機器の通信接続状況や、接続している端末の一覧情報といったあらゆるデータをモニタリング可能です。
その他、一部ですが、このDecoアプリを使うことで出来る機能を簡単に紹介します。
最近は、エアコン・ロボット掃除機・スマートスピーカーなど、家中の家電がWi-Fiに接続して、スマホアプリで操作できるものが多く、IoT家電がかなり増えていると思います。
そのようなたくさんあるIoT家電専用のWi-Fiネットワーク構築をすることで、他の機器が接続するネットワークとは分離して管理できるため、かなり便利です。
さらに、たまに家に遊びにくる来客用にゲスト専用のWi-Fiネットワークを作成することも、簡単に可能。
本来のネットワークパスワードを知られることもないため、セキュリティ的に安心です
また、子育て中の世帯でも嬉しいのがコレ、保護者による制限機能です。
利用状況を把握することや、特定のWEBサイトをブロック、時間帯による接続制限など、安全・安心にネット利用できるための細かな設定が可能です。
このように、連携するDecoアプリにより、それぞれの家庭にあった形でDeco BE75(2パック)の機能を最大限活用できてかなり利便性が高いです!
2台のバックホール接続は無線にも対応、もう1台を柔軟に設置できる
Deco BE75(2パック)の良い所は、メインのルーター機とサブのルーター機で2台1セットになっているため、メインのルーター機によるWi-Fi接続範囲だけでなく、サブのルーター機と合わせて、かなり広範囲のメッシュWi-Fi環境を構築できることです。
このメッシュWi-Fi環境により、前述の検証結果のような高速な通信がどこでも使えるようになるのですが、その根本として、無線Wi-Fi接続であれば、サブのルーター機を柔軟に設置できる点も大きな魅力ポイントです。
2台による、より高速なメッシュWi-Fi環境構築をする場合は、有線接続による双方接続が必要。
しかし、自宅に後付けでDeco BE75(2パック)を設置する場合、壁や床へのケーブル埋め込みは難しいため、ほとんどの2台バックホール接続は、無線によるWi-Fiに頼ることが多くなると思います。
今回、無線のWi-Fiを使ったバックホール接続でしたが、かなり満足のいくメッシュWi-Fi環境を家全体に構築できています。
コンセントの電源接続さえあれば、どこにでもサブ機を設置できる設置柔軟性のメリットは、メッシュWi-Fi環境を構築する上でかなり大きいポイントです!
VPN接続で外出先から自宅内ネットワークへリモートアクセスできる
Deco BE75(2パック)はソフトウェアを用意することなく、さきほどのDecoアプリ内の機能で、VPNサーバーを簡単に設定できます。
VPNタイプは、OpenVPNやL2TP/IPSec、PPTPに対応しています。
端末側で設定したサーバー情報をVPN登録したら、外出先からでもどこでもホームネットワーク内に、簡単かつ安全に接続できるようになります。
ぼくの環境では、Deco BE75(2パック)の背面側にUSB接続で外付けHDDを挿入。
自宅内でも外出先でも使えるネットワークストレージ(NAS)として活用しています。
自宅内はもちろん、VPN接続により外出先から自宅のネットワークにアクセスでき、リモートデスクトップのようにストレージ内のデータをやり取りできるので、かなり便利です!
まとめ:極上なWi-Fi 7対応環境を実現するDeco BE75(2パック)
Deco BE75(2パック)は、最新のWi-Fi 7規格に対応した最高レベルの性能を持つWi-Fiルーターです。
自宅への10ギガネット回線導入や、利用する端末側でのWi-Fi 7対応など、ルーター以外のユーザー設備や環境といった準備が必要とはなりますが、今後ますます対応サービスや対応機器が増えることは必至で、Wi-Fi 7の恩恵を受ける機会は相当な勢いで増していくと思います。
現状、Wi-Fi 7対応機器や10ギガネット回線がそこまで広まっていないことなどから、本体価格は85,800円(税込)と、導入にはそれなりに高いコストがかかります。
しかし、実際に日々機器を活用する上で、その高い機能性や自宅Wi-Fi環境の異次元かつ劇的な速度改善を目の当たりにすれば、価格をペイできるだけの十分すぎる高パフォーマンスを発揮してくれていると感じています。
戸建て住宅やマンション住居全体のホームネットワークに最高のネット環境を作りたいのであれば、ぜひ積極的に導入したい最高峰のWi-Fiルーターですので、気になる方はぜひDeco BE75(2パック)をチェックしてみてください!
- 自宅Wi-Fi環境を最強かつ最速の通信速度環境に改善したい人
- 戸建て住宅やマンションのように広い空間でも、場所問わずどこでも繋がるのメッシュWi-Fi環境を構築したい人
- Wi-Fi 7対応機器や端末を持っている人
- 自宅ネットに1ギガ回線ではなく、その上位の10ギガ回線を契約している人
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